最近Axe Fx2とMorningstar MC8でどれくらいのことができるか色々実験しています。
本エントリーではBOSS DD-20, 500のTwistモードをシミュレートする方法についてご紹介します。
DD-20とは
DD-20とはBOSSの超有名デジタルディレイです。
23秒もの超ロングディレイや様々な種類のディレイが搭載されたコンパクトタイプのエフェクターです。
ちなみにDD-500はこの後継機です。
特にこのディレイで印象的なのはtwistモードです。
動画の7:19-のようにペダルを踏んでいる間、ディレイ音がホールドされ、そのディレイタイムとピッチがどんどん上がっていき、ペダルを話すと元に戻るというエフェクトです。
GLAYの名曲Winter AgainでもHISASHIが使用し、荒れ狂う吹雪と白銀の世界を見事に表現しています。
これをAxe-FXⅡとMC8で再現できないか検証してみました。
シミュレート方法
1. 【Axe】アンプ&ディレイの用意
アンプはHisashiにならい、TriaxisをシミュレートしたUSA Pre LD2にします。
キャビは無難にVintage30を搭載した4*12 German V30とします。
肝心なディレイはDigital Delay Monoを選択します。
このディレイは常にONの状態にします。
で、普段はMixゼロ、すなわちドライ音のみ出力し、スイッチを踏んだ時のみMix100になるように設定します(後述)。
2.【Axe】Modifierの準備
Midiスイッチで制御したいパラメーターのModifierを設定します。
Twist再現にあたって必要なパラメーターはTime, Mix, Repeat Holdの3つです。
これらのModifier Edit画面で(各パラメーター上で右クリック)Sourceに任意のExternalを割り当てます。
(私の場合はExternal10としました)
割り当てが完了すると各ツマミの真ん中が黄色に表示されます。
3.【MC8】 Midiコントローラー側の設定
次にMidiコントローラー側の設定を行います。
ここでは私が本ブログで推し散らかしているMorningstar MC8を使って説明致します。
まずAxe本体でExternal10のCC No.を調べます。
本体でI/Oを押し、CTRLのページにいき、External10が現れるまでスクロールします。
どうやら25のようです。
次にMC8の任意のスイッチをTwistスイッチにするため、設定していきます。
ここではスイッチGをTwistスイッチとします。
まずわかりやすくShort NameをTwistとします。
肝心なCCメッセージは以下のようにします。
これは以下のような意味になります。
Msg1→スイッチGを踏むとExternal10が起動します。
Msg2→スイッチGを踏むのをやめるとExternal10がOFFします。
つまり工程2でExternal10を割り当てたディレイのTime, Mix, Repeat HoldがスイッチGを踏むと同時に起動して、踏むのを止めるとOFFするということを意味しています。
ここまで設定したらSave Presetを押して試しにスイッチを押してみましょう。
この際、Axeエディター上で各パラメーターのつまみが動いているようであれば成功です!
ただしデフォルトの状態での音はTwistモードとは似ても似つかない状態ですよね?
これを最適化してTwistモードに寄せていきましょう!
4.【Axe】Time, MixのModifier最適化
TimeとMixを最適化していきます。
(Repeat HoldはON/OFFだけなのでこれ以上いじらなくてOK)
Time
Twistモードではスイッチを踏んでいる間ディレイタイムが短く、ピッチが上がっていき、スイッチを離すと下に戻るという制御にします。
まずはディレイタイムの初期値と最終的に達する値を決定します。
ここは弾きながら決めていくしかないのですが、私は初期値127 ms, 最終値57 msとしました。
つぎにディレイタイムが127-57 msで変化する際の過渡特性(上がり方)をいじります。
各パラメーターの意味は以下のようになります。
- start→初期値
- mid→CC valueが上がりきるまでの時間の半分の時間で通る値
- max→最終値
- slope→傾き、極大値(値によっては3次曲線のようにできます)
- scale→曲線のスケール、傾き
- offset→初期値のオフセット量
- damping→CC valueが上がりきるまでの時間
基本的には弾いて、聞いての繰り返しで決めていくしかありません。
これらのパラメーターの中でdampingは特に重要です。
これはCC valueがスイッチを押してから上がりきるまでの時間に相当するパラメーターです。
短いとすぐに上がり、長いと時間をかけて上がります。
この設定でかなり印象が変わります。
ちなみに私は以下のような設定にしました。
後半ほど急激に上がるような設定です。
本家もこのカーブをいじれるのかどうかわかりませんが、少なくともwinter againのtwistはこういう感じではないかと思います。
Mix
次にMixを設定します。
ディレイブロックは常にONにしておきスイッチを踏むとMixが0から100に徐々に上昇し、スイッチを離すと逆にmixが徐々に低下し、repeat音が自然と消えていくという制御にします。
もちろんAuto Engageを利用してペダルを踏んでいる時に自動でONとすることもできますがお勧めできません。
というのもペダルを離してからすぐに、OFFになるため残響が不自然になるからです。
一応slow speedの設定が最も残響音が長くなるのですが、それでもコンマ数秒で、フッ不自然な形で消えてしまいます。
それでは設定ですが、先述したTimeと同じです。
各パラメーターをいじって好みの設定にします。
ちなみに私は下記のような設定にしました。
さて、実際に弾いてみてください!
いかがでしょうか?
ここまで来ればほぼ冒頭で紹介したTwistモードなっていませんか?!
5. winter again風
最後にwinter againに寄せてみます。
これにはピッチシフトディレイを追加します。
これはディレイ音が設定した度数でピッチシフトするというものです。
これをONするだけでクリスタル(?)なキラキラとしたサウンドになります。
とりあえず私はオクターブずつ4つのディレイ音が発生するように以下のように設定しました。
ここにさら残響感をプラスするため、リバーブも入れましょう。
リバーブはLarge Hallで空間感を出します。
とりあえずこんな感じになりました。
どうでしょう?!
それっぽくないでしょうか?
もちろんドンズバサウンドではありませんが、複雑なシステムを作らずに、AxeとMC8だけでこのサウンドが出せるのであれば、かなりコスパがいいと私は考えます。
このクオリティでwinter againのコピーをして怒られることはまずないのではと思います。
最後に
いかがだったでしょうか?
とにかくAxeはあらゆるパラメータをmidiコンで弄れるので、トリッキーなエフェクトも設定次第で再現できてしまいます。
今後も面白い使い方があったら本ブログでご紹介していきたいと思います。
ω